2022/06/27

前に進むために 〜東日本インカレ 出し切れなかった後輩へ〜

3年 小島 駿亮

 

サポートの方や応援の方、学連の方に加えて選手たちで作り上げた東日本インカレ。

つくトラとしてチームで作り上げた、とても良い時間・空間でした。

 

自分にとっては悪夢でしたが、、

 

正直、いまだに現実が受け入れられてなく、レースを思い出すだけで言葉に詰まる。

ストラバも見れないし、写真も怖くて見れない。

口で失敗談として話せるようになるまで、おそらく時間がかかりそう。

 

けれども、時間は進んでいる。

自分が過去に溺れ苦しみ、懸命に平静に戻ろうとする中で、

無情にも隣ではすいすいと自分の手で前に進んでいく人がいる。

 

今回の文章は自分だけのワードにとどめておこうかと思ったけど、

ブログに赤裸々に今の心情を書くことで、現部員に一言で話せなかった思い、将来の部員に反面教師として使ってもらいたい。

本当は、自分が気持ちを打ち明けることで救われたい。

 

文字なら今の気持ち、レースを書き記せる。

現実を受け入れるために、前に進んでいくために、

幸い、今はもがき苦しんでいるけどOWSとは違ってゆっくり呼吸ができる。

タイムも順位もない。1文字1文字、ゆっくりと書き進めて行きたい。

 

今回のレース、敗因は心。

一番、自信を持っていた部分が最後、穴となった。

フィジカル面には慢心もなく、最後までベストで挑むことに注力した。

 

心を置いてきてしまったようだ。

「どうせ俺はレースでは実力以上が出せる」

「本番に強い」

 

何がだ。

そんな奴が、レースでパニックになり、心ここにあらずでレースを進めてしまうのか?

慢心はだめだといわれて、慢心はしていなかった。。はずだった

 

自分の心、、、

胸は折れても心は折れない。

磨いた心が一番の武器だと思い、自信を持ち、放置してきた。

できると信じて。

 

2月の大怪我から急ピッチで仕上げ、医者の忠告も聞かずスイムを早めに始めた。

4月中旬、やっと運動できると思ってたらシンスプリントになった。スイムですら痛い時期が続いていた。

今でも痛いままだ。それでも、スイムのプル、バイクなら負担が少ないと思い、やり続けた。

色んな活動ができるようになって、忙しかったけど、できる限り毎日やっていた。

 

6/5 彩の国トライアスロン。

楽しかった。そこには運動ができている自分がいる。

全治6か月といわれた怪我だけど4か月後にはトライアスロンができている。

心から笑えた。ただただ幸せだった。

 

今思うと、ここから歯車が狂ってきたのかもしれない。

楽しむことよりも順位、順位、順位、、、

確実にフィジカルは上がっている。まだ、伸ばせる。油断なんて1ミリもない。

 

ただ、体の急ピッチな調整に心が追い付いていなかった。

トライアスロン後、心が折れかける。

体が動かない。とても気持ちが悪い。頭が痛い。

それでも迫ってくる日常。

やることの量は減らした。部活も続けることだけを意識して、無理せずに参加した。

 

それでもだめだった。

ますます悪くなるメンタル。実家に帰る頻度を上げて回復に努めた。

ようやく回復の兆しが見えたのは 4日前。

少しずつ回復した。けれども体調やメンタルを万全にするのは間に合わなかった。

 

前日、試走。

走れた。体は動いた。フィジカル面はOK。

夜のMTで強気の発言。別に嘘は言っていなかった。

 

「全力で楽しむだけです」

この一言を除いて

 

実は、前日、気持ちが悪かった。

「この弁当が、、、」とか言って食べなかったけど、確実に体のコンディションは悪かった。

そのサインに気づかなかった。というか気づかないようにしていた。

明日は行けると。。

 

当日、距離が半分になった。正直、ODが良かった。

でも仕方ない。やるしかない。

 

女子は楽しそうにレースをしていた。

自分たちも頑張るぞと力をもらった。

 

先日とは異なり、体調もまあまあ。

コンディションは大丈夫。

他大の人とかと頑張ろうなとか言い、「栄光の架橋」を聞きながら気持ちをあげていった。

 

さあ、時はきた。

今までの成果を出すぞと、順位をとるぞと。

楽しむという気持ちは無かった。

 

スイムの場所は真ん中2列目、バトルは激しいが慣れっこだ。

スタート同時に威勢よく飛び出した。

冷たいけど、万事オッケー。

全然、進める。集団も多いし、チェーンで進める。

 

あれ?

異変に気付いたのは200m通過したころ

周りに人がいない。誰もいない。

顔をあげると自分の周りだけ誰もいなかった。

焦った。

 

ヘッドアップを行って、前を確認しながら泳ごう。

そう思った矢先、ふいに足をつかまれ、頭を殴られた。水を一気に飲んだ。

故意ではないのは感覚で分かる。けれども自分はそこで平静を失った。

 

突然、水の青さが怖くなって、水温が刺さるように冷たい。

息ができない。焦って、顔をあげると人が前に行ってしまっている。

進まない、苦しい。 水底に引っ張られていくような感覚に陥った。

 

やばい溺れる。

とりあえず苦しいから平泳ぎで呼吸を整えよう。

最初のブイまで、そしてそれを過ぎて少々。体感50m以上、平泳ぎした。

抜かれていくけど、心を保つのが先だ。

幸い、前の方だし問題はない。

 

けれども順位という呪縛はここで働いた。

知っている顔が横を通ったのだ。(実際は違う人だった)

こいつと同じだとスイムアップは100番台かもしれない。

やばい、やばい、やばい、

 

パニックが収まらないまま、クロールに戻した。

早く終わってくれ。息がしたい。

なんとか泳ぎ切ったが、焦りっぱなし。

順位は70番台。タイムは1130秒だったらしい。

けれどもそんな声は聞こえず、トランジに手間取り、心肺も上がりきったままバイクへ行った。

 

バイクは記憶がない。1周目で部員に抜かれて、挙げなきゃと思ったけど、上がらない。

目の前で落車もあった。怖い、ただただ怖い。

トランジも靴が脱げない。手が震えてしまって、脚が出せない。

ふくらはぎが攣った。仕方なく、片足ビンディング履いたまま、トランジした。

終わった後に分かったことだが、

ホイールからパンクしたような異音が出ていた。

ドリンクを一度も飲んでいなかった。

ビンディングのゴムが切れていなかった。

補給もとっていなかった。

 

得意のランも全く上げられず、最後の最後で少し上げて終わってしまった。

順位は分からない。ただ、タイムは見たこともないような時間だった。

 

レースの総括はこんな感じだ。

自分がはっきりしていたのは開始200mまで。あとは別の人間が競技しているようだった。

 

終始、恐怖と戦っていた。

溺れるんじゃないかという恐怖。

インカレいけないことへの恐怖。

何より積み上げてきたものが瓦解していくような恐怖。

 

初めてだった。

楽しいんじゃない、ただただ怖い、恐ろしいレース。

レース後の気持ちは虚しさと完走したことへの安堵感。

夢でも見ているかのような気持ちだった。

 

一人一言でも言葉に詰まったが、あそこで言った一言が全て。

「悔しいし、寂しい」

 

出し切りたかった。みんなでインカレに行きたかった。

みんな、自分、本当にごめん。

 

今後どうするのか、

幸い、やりたいことは沢山ある。

けれども、心にぽっかりと空いた穴は埋まらなそうだ。

日本一周旅行でも、遊びでも、新しい挑戦でも

 

一晩、考えた。トライアスロンはどうしようかと。

目標は失った。じゃあ、やらないのかと。

答えはNoだ。

俺は心の底から運動することが好きだ。

ただただ、体を動かし、頭を使ってレベルアップする。

それが楽しいはずだ。

 

そう考えたら、もう体は動き出した。

ジョギング。

脚の感覚だったり生々しい記憶がよみがえってくる。

それでも運動することが唯一の解決。

汗とともに、体に刻まれていたナンバーを洗い流した。

 

結果にとらわれる過去からの決別。

自分を追い詰め、心身に異常をきたしてでも打ち込む過去を洗い流し、

純粋に競技を、レベルアップを仲間と一緒に心から楽しむ。

トライアスロンは結果を出すため道具じゃない

俺の一部だ。

結果はもう出ないと分かってなお、決別しないのはそういうことだろう。

 

そう考えたら不思議だ。

ただ強くなりたい。練習がしたい。それが楽しむことにつながる。

 

多分、今回の失敗は今まででもトップ3に入る。

けれども、今まで失敗したらそれを成功に変えている。

失敗を生かすかどうかは自分次第だ。

多分、神様もそう言っているのだろう。

「結果や人の目にとらわれるな。楽しむことに全力になれ。」と

楽しむことで体と心が一致する。

それを忘れちゃだめだ。

 

走りにでも行こうか。

結果もない、順位もない。

ただ、前に進むだけ。

意味なんてない。ただ、走りたいのだ。

 

 

今までだって、そうだったじゃないか。

旅行だって、挑戦だって。

まず動く。楽しもうと思っていたら心が勝手についてくる。

物理的にでいい。

前へ進もう。

大ループでも走っていたら、置いてきてしまった心と一周差で出会うかもしれない。

 

最後にインカレに行けないことは悔しいし寂しいのは本当だ。

過去を変えられるなら今すぐにでも変えたい。

けど無理だ。そんなことはわかりきっている。

じゃあ、どうするか。

トライアスロンを楽しめばいいじゃない。

改めてトライアスロンが好きだ。

 

俺はトランジが速い男。

レースではミスったけど落ち着いてる今なら早いはず。

俺は前に進む。勝手に心がついてくることを信じて。

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