2026/10/08

インカレレースレポート 「20秒だけ時間をください」

お久しぶりです.皆さんいかがお過ごしでしょうか? 
筑波大学理工学群工学システム学類 4年次5年生の喩です.

私はインカレが終わってからの2週間,完全に燃え尽きて抜け殻になっていました.ですが,雨続きだった9月から一変,10月は清々しい秋晴れ.さすがに運動を再開しました.やっぱり体を動かすと毎日が楽しいし,何事も上手くいきますね.

今日の朝日峠展望台(with 古俣)

挨拶はこのくらいにして,2026年9月27日の現実に向き合い,お伝えしていきたいと思います.今回はレース前や練習の話はすっ飛ばして,レースプランとレース本体について詳しく書いていきます.

インカレの目標

ここ2〜3年これしか言っていないので書くまでもないですが,一応.

  • 個人6位入賞
  • 団体6位入賞

個人で6位以内に入賞すると,毎年配られるインカレのプログラムに名前と大学名が載ります.学生トライアスロン界に名前を刻める,名誉ある称号なのです(大学受験の模試の冊子に名前が載る,あれのようなものです).

レースプラン

エリートレースの最大の特徴は,なんといってもバイクの集団走です.スイムを誰と,どの位置で上がるかで,レースの強度と順位がほぼ決まります.

そのため,事前にスタートリストや各選手の実力を把握し,自分のレースプランを持っておくことが必須です(2024年あたりから実践しています).私のプランは以下の通りでした.

スイム

  • 上流側,インの右端からスタート
  • 得意のスプリント能力で最初に楽に抜け出し,持続できる強度へ移行
  • 1周目は20位前後
  • 2〜3周目は位置をキープ
  • 20位前後でスイムアップ.第2集団の後ろか,第3集団の先頭で上がる

バイク

  • 第2集団(長谷川・藤代・島田)が前にいれば,漕ぎ出しをハードに入って追いつき,追いついたらツキイチ
  • 第3集団(油井・本木・岡本)の先頭にいれば,冷静に乗り出し,直線で集団にジョインして早めに余裕を作る
  • インカレのコースは狭く,折り返しで集団が縦に伸びて脚を削られるので,集団の前方で折り返すことを意識
  • T2も混むので,公園に入る手前の橋のコブで集団から抜け出し,集団の先頭からランスタート

ラン

  • 順位を取りに行くので,最初はどんなハイペースでも絶対についていく
  • 2024年スプリントの時のように,気合いの走りで入賞に滑り込む

過去3回のインカレの経験や周りの意見から,「インカレは先頭で牽制が発生するので,少なくとも第3集団まではバイク終了までに先頭に追いつく」というのが定説で,自分もそう思っていました.しかし,この固定観念が文字通り命取りになりました.

レースレポート

スイム 21:23(33位)/参考 20:55(9位)

Bシード,名前順で16番.関カレ云々のアナウンスを横耳に名前をコールされ,予定通りインの右側へ.みんな右に固まると思っていたが意外とばらけていて,インにいたのは5〜6人.インのイン,本当の右端にスペースがあったので,我が物顔で入り込んだ.(つくとら内では「可能な限り右に行く」と伝えていたつもりだったが,意思共有が足りておらず動揺させてしまったらしい🙏)


隣もシード選手で,最初は真っ直ぐ行こうと示し合わせていたので,第1ブイまではノーバトルの完璧な出だし.少し左(玉井たちの隣)からスタートした日大の森選手と第1ブイ手前で合流したので,デグ練の経験を活かして森選手の脇あたりの水をかき,体もピッタリ密着させた.うざいだろうなと思いながらも文字通りコバンザメさせてもらい,先頭でブイを回る.

第2ブイまでの中盤までは先頭を維持できた.しかし本来の泳力差から急に不安になり,遠慮の心も出てしまい,真後ろにつくとズルズルとピュアスイマーたちに抜かされていった.

スタート直前まで説明のなかった第3ブイを回って上陸すると,おそらく駿の「ひろと前」という声が聞こえた.2周目に入る飛び込みで東海のトライスーツを見つけたので,この位置をキープしてスイムを終えれば入賞,ひいては優勝争いができると安心した.第2ブイまでは何事もなく,ただついていくだけ.


ところが第2ブイを回ったあと,普段はない第3ブイのせいなのか,パックの中で進行方向にばらつきが出て3〜4人で軽くバトル状態に.これで集団から少し間が空いてしまった.

それでも焦らなかった.去年の国スポで同じ状況を経験し,オールアウトで間を埋めれば集団に復帰できると知っていたからだ.少しの中切れを確認し,全力でキックを打ち,腕にも力を込めて水をかく.次のブイまでには埋められると思ったが,ここで足首を掴まれ,上に乗られる.後続のためにも中切れを埋めようとしているのになぜ?と思いながら前を追うが,妨害は続いた.諦めて後続の選手に引っ張ってもらおうと前を譲ったが,ペースは上がらない.

2周目の上陸時点で,ひろとの集団から20秒前後の差.3周目,厳しいがまだ戻れると思い1人で前を追ったが差は変わらず.第2集団から20秒遅れ,第3集団の先頭でスイムアップとなった.

バイク 1:00:11(68位) ave 41.4 km/h/NP 230W

ひろとは逃したが,プラン的にはまだ許容範囲内.実際,バイクの速い日体大の本木選手がすぐ近くにいたので,まだ全く諦めていなかった.

直線に入るまではハードで前を追う.苦手な漕ぎ出しだが,水曜日に散々練習してきた甲斐もあって余裕を感じた.5〜6人を引き連れて周回コースに入るあたりで,先行する本木選手を含む4人を吸収し,10人ほどの集団を形成.サクッと先頭に追いついて休憩タイムに入れると思っていたが,ここで大誤算が起きた.この時点では先頭+1:30

リザルトからの考察だが,第1集団にひろとを含む第2集団が追いつくと,牽制どころかさらにペースアップ.先頭パックには団体上位を狙う日体大・日大・慶應・立命館がそれぞれ3人ずつ送り込んでいたため,協調して後続とのタイム差を広げにかかったのだ.

こちらもバイク力のある6人ほどで上手く回して前を追ったが,2周(バイク15km)ほど消化して先頭とのタイム差を聞くと2分.決して遅くはないペースで追っていたのに,差は広がっていた.追走で脚を使っていたうえ,折り返しで後続パックとの差を見ると30秒ほど.前よりは断然近い.集団内で意見交換し,脚を緩めて後続を待つ判断をした.

半周して後続パック(こうとのパック)が追いつくと,ここから一気にスピードを上げ,先頭まで追いつこうと積極的に動いた.ペースを上げるためにローテーションを待たずに前へ上がって牽引.集団も大きくなったので,折り返しでは前を陣取ってまたペースを作る.

このままいけば先頭まで届くはず.レース中はそう思っていたが,先述の通り先頭パックは追いつかれまいと協調していた.残り1.5周まで脚を使って追う姿勢を見せたが,タイム差3分の表示を確認.ここで急に冷静になった.もう入賞争いはできない.念願の個人入賞は絶望的だ.

それでも,絶望している暇なんてなかった.今回は個人だけじゃない,団体がまだある.ローテーションをやめて集団後方へ下がり,こうとを見つけて「この集団で戦うしかない」と伝えた.目的が完全に団体入賞だけになり,集団を牽く意味がなくなったので,脚を貯めることにした.

こうととペースアップに備えて後方待機

周回を終え,公園の手前.事前の打ち合わせと試走通り,橋の手前からペースアップ.右コーナーを抜けてから単独走になった.この集団でついてきたのは日体大の本木選手くらいだった.降車ラインギリギリまでスピードを落とさず,上手く飛び降りる(ここも地味にタイム差が生まれるポイントだ).

T2

トランジションもいつも通り難なく済ませ,T2を出るとサポートから「20位」の声.あぁ,やっぱり個人入賞は無理なのか.一瞬,脳裏に絶望がよぎった.

でも,桐の葉で自分が言った「一瞬たりとも諦めない」を思い出した.団体にはまだギリギリ滑り込めるかもしれない.第2集団に2人,後ろから来る3人のうち誰か1人が追い上げてくれれば,団体のプランは崩れていない.自分の使命は,つくとらの選手として,エースとして,1秒でも早くゴールすることだ.

ラン 34:16(17位)

例年,キロ3'30ペースで走れば入賞というのが相場で,自分もこのペースを擦り切れるほど練習してきた.入りの1kmは3'25,2kmは3'24,6km通過までの平均ペースは3'25.攻めた.個人入賞の夢が潰えた悔しさも忘れて,攻め続けた.

後半,第1集団の選手を何人かキャッチし,16位ほどまで浮上.しかしサポートの顔色が気になる.団体の状況が芳しくないことを薄々悟った.足もキツくなってきた.


不穏な気配を少し悟って険しい表情


それでも,最後まで何があるかわからない.諦めるわけにはいかない.後半少しペースは落ちたが,フィニッシュ.

フィニッシュ後

もちろん個人順位には全く納得いっていない.それでも,最善の立ち回りと最大努力量のランでタイムを削り出した.やれることはやった.あとは2人がすぐに来てくれることを祈った.

だが,なかなか来ない.次に来るはずのこうとの状況をサポートに聞くと,足を引きずっているとのこと.2年生で初インカレ,しかも怪我を抱えた状態のこうとに快走を頼るのは,荷が重すぎた.

そんなことを考えていると,古俣が来た.泣きそうな古俣の顔を見て,その意味を悟った.2番手で古俣が来た時点で,こうとと玉井が走れていないことが確定する.全員がうまくいって,その上でいくつかの奇跡が起きないと入賞できなかった我々に,もう希望はなかった.

負けた.完全敗北.個人入賞も団体入賞も逃した.全てに負けた.これが最後のインカレか….


総合 1:56:26(18位) 男子団体11位


次回は,リザルトを見返しての感想戦を書こうと思います.

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