2017/05/06

IRONMAN New Zealand 2017 体験記⑤ ―第三章―ラン

何と言えば良いのか。
山下です。毎度ご無沙汰してすみません。
全然書き進められませんでした。

ランパートです。ついにレースが終わります。
一番自信と目標を持っているパート。


走り出しは噓のように軽やか。
バイクでタレたおかげなのか何なのか、走れる走れる。


僕のランパートの目標はサブ3.5
無理だろ。と思われても、なんとかして達成したい目標。
つまりはキロ5分で42.2kmを走らなければならない。
そしてコース設計がとても好き。
14km×3
つくばマラソンは42.2kmを一周で行う。
これは果てしない。見たことのない景色ならなおさらそう感じるかもしれない。
21.1km×2周ではどうだろう。
これも辛い。一周してもう一度このコース走るのかって。絶対なる。
同様に10km×4周も絶対しんどい。

そこで今回の14km×3周を考えてみる。
とてもいい塩梅だと、僕は思う。
14kmくらいは普段のレースで10km走っていれば大したことはない。
次の一周、ここが踏ん張りどころかもしれないが、21km×2周と違い、一周目が14kmなので精神的疲労はそこまでだと思う。これをあと2周か。と思ってしまうかもしれないが、この2周目を走り切ると、
なんと残りはたったの14kmなのである。頑張れる。
ビバ・14km×4





気を取り直して。
このランコースでは距離表示の看板が二キロごとに設置されている。
最初の二キロは下り基調で、軽快に、でも慎重に進む。
ここで再び早稲田の安藤を抜く。
通過は850
!!
ちょっと速すぎる気がする。
もう少し抑えめに。
そしてやってくる最初の上り。
ここで頑張らない。頑張ってはいけない。
なるたけ楽に。力まないように。呼吸を整えながら走る。
キロ5分を維持して8キロの看板をパスする。







  

もよおした。


トイレを探して駆け込んだ。
ランは途中で立ち止まったせいで走れなくなった経験があったからできれば避けたかったけど、おながいだい。


再開。やっぱりさっきより足の重さが格段に違う。
しかし、ここまでキロ5kmを多少上回るペースで来ていたこともあって多少のペースダウンはそこまで痛手ではない。
落ち着いて体をほぐすように走っていく。
10km地点を過ぎた。
タウポ湖畔に出て本部に戻るべく歩を進める。
前方に見たことのある赤いバイクジャージが歩いている。
川名!!!
追いついたああーー!
ちょっとペースを落として並走(並歩?)しながらちょっとおしゃべり。
俺を置いて先に行け。みたいなことを言ってた気がする。

本部やトランジ、フィニッシュゲートがあるあたりに戻ってきた。
やはり観客の数がすごい。
この周辺にはバールなどがいくつかあって、そのテラス席にもほぼ満席のお客がいて、10時間以上レースを続けている変態どもを横目に良い(酔い)気分になっているのである。
いいなぁ。
こういう気軽な、気楽な雰囲気の、おだやかな空気の中でレースするのって気持ちいい。
レースをする人と、知り合いを応援している人、知り合いのついでに他の皆を応援する人、家の前がコースになってるからとりあえず応援する人、別に応援するわけでもなく、お祭り気分でBBQしながら「ビール飲まないか?」と選手に声をかけるおっちゃんたち。
色んな人がいて、中には自分のゼッケンを凝視して、通り過ぎたころに「YUMA GO!!」だったり「コンニチハ!!」だったり言ってくれる人もいた。
 
帽子が受ける風が気になるくらいの速度で走ってる。まだ元気。
ランの写真これしかない。


話を戻して二周目。
歓声が多いのと下り基調が手伝ってペースが上がる。
おお!まだまだいけるぞ!
そういえば去年のブログで近藤さんがMr. ChildrenGIFTを頭の中で再生して泣いてた、みたいなこと書いてたな、
俺もやってみるかと思い、脳内再生する。


一番きれいな色って何だろう。
一番きれいな物って何だろう。
僕は探してた、最高のGIFTを、、、
、、、、、、、、、、、、






ちゃらーらちゃーちゃちゃーちゃちゃららら
イメージしながら~
Wooow  

しゅーーりょーー
歌詞覚えて出直します。






一周目よりは落ちてるもののそこそこのペースを維持して16kmを通過する。
そして二周目で一つ目の上り。
それは唐突にやってきた。
あ、足が上がらない。
よちよち走りしかできない。

ぽっちゃり系マダムの高速歩行に抜かれる。

ここから長かった。
一度動かなくなった足は平地になっても上がらず、みるみるペースが落ちていく。
まずいと思いエイドで補給をとっても内臓が追いつかない感じ。
トイレ。
そしてコース中盤の上り坂でサッと安藤に抜かれた。
つええ。。。
そして情けねえ。


歩いちゃあ、走っちゃあを繰り返し、コースの一番奥辺りまで。
ふと後ろを振り返ると、真っ赤のジャージがすぐそこまで迫っている。

ついに来たか。。。


意地でペースを上げるもあっさり抜かれた。
さらば、川名。





22km過ぎあたりでついに足が止まった。
呼吸を整える。
もはやエイドでは固形物を口にすることも躊躇われた。
気持ち悪い。
キロ5ペースはどこへやら。

徐々に「歩いちゃあ、走っちゃあ」は「歩いちゃあ、止まっちゃあ」になり、
覇気なく歩いていると声援は減り、
一番苦しい時間がやってきた。


湖畔沿いのコースに戻ってきても状態は悪くなる一方。
なんだか視界もグラグラしてきて、膝に手をつく。
一度止まると歩き出すのが辛くて、こんな状態でどうやってフィニッシュするんだろうという気になってきて。
リタイアの四文字が浮かぶ。
カッコ悪いなぁ。





レース前は、俺か川名がトップで帰ってくるでしょ。
みたいな話をしてて、
拓実トップ説もあると思っていたけど(越部すまん)
まんざらでもなかった。なのにこの有様。
挙句、ランの途中リタイアなんてなったら。


なったら!!
来年のIRONMAN NZを完走するまで日本に帰れなくなってしまう!
後輩と同期に空港まで見送り来させといて!
家族、先輩、同期、後輩、OBOGさんから応援LINE貰っといて!
バイクショップの店長にレース用に色々サービスしてもらっといて!
格好つかないだろう。

リタイアしたら追いコンのネタだってできないし、
一緒に来た四人の内俺だけリタイアって明日からの観光気まず過ぎる。(四人ともこの思いだった笑)


不純と言えなくもない気持ちでギリギリ踏みとどまる。
一人でやってたらこんなところまで来れなかったなぁと思いながら
とりあえず歩く。
歩き、進む。



と思ったら、完走一直線と思われた思考回路の分岐点に。
Aコース. このまま地道に歩き進む。
Bコース. 倒れるまで走る








B、、、良くね?
走ってみてフィニッシュできれば万々歳。
フィニッシュする前に倒れたとしたら、それはそれで誇らしいんじゃね?
今まで倒れるまで何かしたことなんてないじゃない。
唯一、小学校の音楽の授業で大便我慢しながら歌ってたら気絶しかけたくらいじゃない。
倒れて担架で救護テントに行くなんてなかなかできることではない。




走ろう。
ちょうど三周目にはいるところで意を決して走り始めた。
最初は気持ち悪さを我慢しながらの歩みだったものの、足がその動きに慣れるにしたがって徐々に楽になってきた。
ただ、補給はもう水しか取れない。
いけるとこまで。



日はほとんど暮れてしまい、それに伴い気温も下がってきた。
最後の一周14kmはなんとしても歩かない。
二周目では歩かされたあの坂もよちよち走りながらも走って上る。

そしてここでついに、あの高速歩行ぽっちゃりマダムをとらえる。
歩くの速すぎた。

自分が走れていることに感動し表情も復活。
すると声援も復活し、より元気が出る。



何個かの上り坂を経る中で青いロング用トライスーツを着たおじさんをよく見かけた。
平地ではその人の方が速いらしく抜かれるが、坂で歩くその人を何度も抜き返していた。

ま、負けたくねぇ。




レースが動いたのはちょうど川名に抜かれたあそこ。
平地でおっちゃんに抜かれる。
何とかついていこうと。
すると、チラ、そしてペースダウン。


えと、

これは、、、どういう、そういうこと、なのか?
横に並ぶと僕のペースに合わせてくる。

な!!
なんていい人なんだ!!!
世界共通語であるスポーツが国籍、年代を超えて心を繋いでくれた瞬間であった。
そのまま二人で走っていく。


エイドに差し掛かった。
俺は少し止まって水飲みたいけど、この人そのまま行ってしまうのかな。。
少し牽制しつつも立ち止まる。
おじさんも止まってくれた。
というかおじさん、めっちゃ食う。
ビスケットにスポドリ(不味くて(苦手で)飲む気にならない)、オレンジと。元気ハツラツかよ。
むしろ僕の方がおじさんが食べ終わるのを待つ形に。笑
おじさんが食べ終わると二人で目線を合わせて小さくうなずき、走り出す。





そんなことを数回繰り返し湖畔沿いのコースに戻ってきた。
僕はかなり限界だった。
おじさんの方が余裕があるらしく、僕のペースが落ちるとおじさんも落とす。
ということをすでに数回繰り返していた。
38km地点の看板を過ぎた。いよいよ残りは4km
でも、もうついていけそうにない。お尻が取れそう。
再びペースが落ち、ジリジリ離れていく。最後のエイドも過ぎた。
さすがにこれ以上おじさんのペースを落とさせるわけにもいくまい。

きっと僕がいなければスパートもかけれるだろうと思い、無い英語脳をフル回転させ、
「もっと速く走れるだろう。僕はいいから先に行ってくれ」(って言えたと自分では思ってる)的なことを投げかけた。
おじさん「ラスト3kmだよ!ほら行くよ!」(みたいな風な英語)

なんて格好良いおじさんなんだ。
危うく泣いちゃうところだよ!どこまでもついていきます!
最後。踏ん張るしかない。




湖畔沿いのコースから90度折れてビクトリーロードへ続く道に入った。
歓声は最初ほどはいない。
もうすぐ21時になるところ。
それでもビクトリーロードに近づくにつれて歓声は大きくなっていく。


 湖畔を離れて500mほどだろうかコースの角が見えてきた。
ここを鋭角に曲がるとフィニッシュゲートがある。
曲がった瞬間の高揚感は一生忘れないだろう。夜9時とは思えない熱気で、両脇に観客がひしめき合っている。
おじさんと握手を交わし感謝を伝える。
すると「君が先に行きなよ」(みたいな風な英語)ですって!!

お言葉に甘えて。











とはするわけがなく。
「いやいや!一緒にゴールしようよ」(って言えたと思う)と伝えて、
ついに、
ついに!!!
13時間45分超のレースを終えたのでした。
Yuma Yamashita, you are an Ironman!!!
言ってもらえました!

 
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いかに入りを間違えたか。でも後悔はしてない。いつかこのペースで。

レース前は、トランジのラップ順位1位目指そうぜ、とか言ってました。

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