2017/03/31

IRONMAN New Zealand 2017 体験記③ ―第一章―スイム


山下です。ギリです。面目ないです。

森君と同じく僕もこの度卒業しました。
ただ院進するので、もうしばしお付き合いください。


さて、前回はスタート位置(外角後方)についたところで終わっていました。
今回はスイムパートです。




湖の状況は、そこそこ波がある。

前々日の試泳のときは底まで見えていた湖。
本日、雨の予報、そして風もあり。
雨は現在降っていない。まばらに明け方の空が見える。
でも、風があるだけでそこそこ波って立つんだなって。

ペラペラしゃべっているうちにスタート1分(以内)前のシグナルが点灯、一応フローティング。
そして、、、

ド―――ン!!
至近距離じゃなかったらそんなビビるほどでもない感じ。



ついに始まった。
四人がバラバラになる。
拓実が先に行ったが気にしない。きっとそのうち落ちてくれる。
川名と越部に追いつかれたらヤバいと思おう。
不安と興奮で心臓がバクバクして楽しい。


バトルは皆無で波に揉まれながら泳いでいく。
キックは基本的に打たない。
落ち着け。落ち着け。イーブンペース。
と自分に言い聞かせながら数百mを泳ぐ。

一つ目のブイにたどり着いた。
黄色いブイに赤字で「2」とデカデカ書かれている。


試泳のときに確認したのはスタートのブイと「24」と書かれたブイ。



あれ、これはもしや。。
次のブイは遠くて見えない、でもわかる。


めちゃくちゃキツイ奴やん!


コースマップではいまいち距離感がわからないけど
実際泳ぎ始めるととんでもなく果てしない。
絶望したついでに必殺の背泳ぎ。このまま行こうかしら。


ちゃんとクロールで進んでいく。
白いブイが見えてきた。
おお!やっと折り返しか!

ん?
奥に黄色いブイが見えるような見えないような。
察しました。
コレハ70.3(アイアンマンのハーフの距離)デスネ

スイムのコースは
まず岸を左手に湖畔に沿って1775m泳ぎ、
右に垂直に曲がって50m沖に出る。
再び右に垂直に曲がって1775m泳いで戻る。
もう一回右に垂直に曲がって岸まで200m泳ぐ。という感じ。


シンプルイズワースト!


つまりアイアンマンのハーフの距離の折り返し地点に来たということは、
1/4しか泳いでいないということになる。
ここではみんな絶望したはず。

うーーわ。
早く陸に上がりてぇ。


とはいえイーブンペース、イーブンペース。
腕を回せば前に進む。
前に進めば陸に着く。

これだけを考えて泳ぎ進む。
「10」と書かれたブイをパスする。
そろそろ折り返しだ。
波はあるけどそれほどじゃない。このまま落ち着いていこう。



ちょっと大きめのブイが見えた。どうやら折り返しのブイらしい。
ついに!ついに来た!


曲がる。


波。


ひと搔き。ふた搔き。


波。


ヘッドアップ。壁?

いや、波だ。
ふむふむ50m先のブイはあそこか。
・・・・・



・・・・・
ヘッドアップ。波?

いや、壁だ。進んでなくね??



ヘッドアップ。景色は変わらず。
波の頂上。
そして海に打ちつけられる。


もう全っ然進まない。
こんなのこの場で泳いで17時間経ってジ・エンドじゃね?
皆進んでいない。
自然って恐ろしいのね。
恐怖で身がこわばる。


いかん。足を使おう。
この50mは早く抜けないとまずい。
満を持してのキック。
進まない。
本当に怖い。背泳ぎで一休みもできる波じゃない。

もう何も考えるな。腕を回してキックを打とう。

数分間はかかった気がする。
ようやくブイにたどり着く。曲がれば一安心、



じゃあなかった。

岸の方が波が弱いんだー。へー、勉強になるなー。

引き続き波が猛威を振るう。
この時ほど自分が右呼吸であることに感謝したことはない。


腕は楽に、着実に回すが、内心は死に物狂いで泳ぐ。

こんなところで死んでたまるか。

いや、むしろランに入ってからリタイヤするより、今リタイヤした方が清々しいのでは?

俺はバカか!もはや陸に上がったら勝ちなんだから余計なこと考えるな!



こんな具合に天使と悪魔のささやきに耳を傾けつつ70.3の折り返しブイが見えてきた。


てか、沖に出る50mがあんなに辛かったなら、最後の200mめっちゃ楽しいんじゃね?

あれ?なんか見たことあるウェットじゃね?

なんか見たことあるフォームじゃね?顔じゃね?

てか、

拓実じゃね!!?


ついていこうとキックを打つ。
右ももがすかさず反応する。

右もも「あっ!攣る!」

俺「え!うそ?えうそ?」
もう一回キックを打ってみる。

右もも「あ!だから!」

俺「おま、ちょ、まだ大して働いてねえだろ。」

右もも「だからだよぅ。俺くんアップって言葉知ってる?さっき沖に出るとき急に使ったから、、ウェットで血行も悪いし、、」

俺「オーケーオーケー俺のせいね。わかったよ。バイクに備えてゆっくりお休み。」


どこで抜いたかわからない拓実が後ろからやってきて、
そして消えた。


背泳ぎをときたま挟みつつ、最後のブイをパスする。
見る見る岸が近づいてくる。
そうしてついに、

泳ぎ切った顔

タイムはエリートのを表示している。ここではピッタリ1:20:00 !!!


フラッフラになりながら走る。
トランジに行く間も絶え間なく知らない言葉のエールをいただく。
みんな楽しそう。元気をもらった。


トランジまでは500mほどの距離があり、しかもスイムアップの地点より10mくらい
上にあるため駆け上がらなければならない(実際はもう歩いてる)
もはや行列になったその中で息を整える。


トランジゲートをくぐると「four oh four (僕のナンバー404)」と声が上がり、スタッフの方が僕のバイクギアバッグを手に持って出迎えてくれる。

その方に連れられて男子の更衣室(テント?)へ。
テントに入るとちょうど中村が出ていくところで、
うわーー、スイムで負けたら勝つとこねーー!!ってなって落ち込んだ。


スタッフ二人にウェットを脱ぐのを手伝ってもらい(全然脱げなかった)
トライスーツを脱いでバイクジャージに着替える。
スタッフの方が僕に「トライスーツは持って行って大丈夫?」と聞くので
「いや、ランで使うから」
と背中のポッケに入れたら怪訝そうな顔をしていた。
椅子に座ってゼリーを飲み、ボーっとしていったん気持ちをリセットする。


よっしゃ陸!!勝った!


と立ち上がるも足がおぼつかなく苦笑。
フラフラとテントを出てエイドのオレンジを貰いバイクの元へ。



再び地獄を見るとも知らずに。雨は降っていない。
近藤さん、パクりました。
スイム 1:20:04



は一週間以内に上げやす。
ではまた。

1 件のコメント:

  1. スイムアップ時の謎のドヤ顔に注目!
    By 通訳

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