2016/03/20

IRONMAN episode6 ―RETURN OF THE ”IRONMAN” アイアンマン戦士達の帰還 後日談篇―


アイアンマンになった6人の後日談をささっと断片的にまとめます(前回で完結しないんかい、と思った人ごめんなさい)。

 
 

 
翌日の疲労感と体中の激痛はすさまじかった。

僕は、1年生の時からずっと怪我をしがちだった左膝がレース中に痛まないか心配だったが、なぜか左膝は全くの無傷で、逆に過去に痛めたことのない右膝の腸脛靭帯を痛めた。

僕達一行は皆、脚を引きずっていて(僕はレースの2日後まで脚を引きずっていた)、階段の上り下りや車に乗るといった行動をするたびに、断末魔のような叫びや呻き声が皆の口から漏れた。

 
ちなみに、ゴール直後の僕は右足が曲がらず、テント内の椅子に座れなかったため、芝生の地面にうつ伏せに寝転んでいた。比企野は脚も内臓もやられていたみたいで、メディカルコーナーに連れて行かれ、マッサージなどを受けていた。比企野を運んで行ってくれたボランティアの方が僕のところにもやってきて、大丈夫か、メディカルに行ったほうがいいよと言われたが、脚が曲がらなくて椅子に座れないから寝転んでいるだけだ、大丈夫、と比企野イングリッシュで話す。もちろん、通じた。

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前回少し触れた、僕らを応援してくださった現地在住の日本人の女性の方と、フィニッシュ後に偶然再会した。お礼を言い、談笑していると、タウポおすすめの観光スポットを教えて下さった(フカ滝とダム。壮大な滝とダムらしい)。

 
6日は、夕方にアワードパーティーがあり、それまでに先の日本人女性おすすめの場所へ行くことになった。フカ滝とダムである。ただ、皆の脚が限界で、そのだいぶ手前の温泉で疲れを癒した。自然に湧き出している温泉と、タウポ湖よりも透き通った冷たい水が合流する不思議なゾーンが皆のお気に入り。
堀さんからは、温泉にはアメーバがいて体内に入ると危険だから潜ったりしないように、と言われていてアメーバにびくびくしていた僕らだったが、現地の人達は普通に水着でばしゃばしゃ泳いでいてビビった。アメーバをも恐れないタウポの人々、強い。


 
仁王立ちする3人(ここは冷たいエリアで、レースによる日焼けを癒す)。目線の先には温泉を楽しむ現地の人々がいました。
 

この温泉の後にレンタカーを返却する予定だったが、16時でレンタカー屋が閉まってしまい、返却できなかった。ガソリンも満タンで返却するのだが、給油口を開ける運転席のレバーが壊れていて給油できないというトラブル。結局、ガソリンスタンドに行ったのに給油しないまま帰った。店員さんにめちゃくちゃ変な目で見られたから手を振っておいた。手を振り返してはくれなかった。

 

翌日、朝イチでレンタカー屋に行き、返却しようとする。延滞料金は取られるだろうし、ガソリンは入れることができていない。比企野イングリッシュで頑張って話すしかないが、もう、皆英語への抵抗はない。
レバーが壊れていてガソリンが入れられないことを伝えると、壊れていることは事前に説明した、だからこれを使うんだ、と言ってレンタカー屋のおじさんがどこからかバーレルを取り出してきて、てこの原理の要領で給油口を無理やりこじ開け始めた。力づくすぎだろ、と呆気にとられて見ていたが、結局おじさんも開けられなかった(おい)。
This is my problem.」そう言って、おじさんはにこやかに握手を求めてきて、「Who is IRONMAN?」と尋ねる。「We are! All member is IRONMAN!」と答えた。延滞料金は取られなかった。おじさん、優しかった。

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レース前は、受付や試泳・試走、ウェルカムパーティー、バイクセットなどで忙しく、観光らしいことは全くしてこなかったが、7日の朝にタウポに別れを告げ、空港のあるオークランドへ向かい、一日だけだが観光をした。

 
 
まずは、バンジー。正確にはスカイジャンプ。高さ、192mから飛び降りる(スカイタワーの高さ自体は328m)。順番に飛んでいくが、じゃんけんで僕が一番最後になった。ヘリコプターが飛んでいたのが見えたが、同じ目線にいて、今から自分が飛び降りようとしている高さはヘリが飛ぶのと同じ高さなのか...と死にたくなった。ただ、飛ぶまでが怖かったが飛んでからはめちゃくちゃ楽しかった。茨城の高さ100mのバンジーのほうが怖かったくらいだ。(とっくんはめちゃくちゃビビッていたね)
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オークランドのシンボル、スカイタワー。


後ろのお兄さんが最高だった。ナイスガイ。



192mからの眺望。ちなみにこのスカイタワーは南半球で最も高い建物らしい(328m)。左手にカメラを装着しています。

ちなみに、ユーチューバーみたいなカメラをスタッフに付けさせられて飛んだ。後で写真と映像が買えるのだが、僕だけカメラが正常に作用しなくて映像の音声が入らなかったため、通常料金より安くしてもらえた。

陸と海を制しただけでなく、空をも制したことで、究極のアイアンマンになることができた。


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その後、街をぶらぶら観光。「OK GIFT SHOP」というお土産物屋さんがよかった。追いコン向けにプレゼントを買った。

 
 
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そして、夜に食べたムール貝がうまかった(タウポのスーパーでムール貝を買って自炊した時点でおいしいことが判明していたが)。
店員のお姉さんが、パスポートを持ってこい、ないなら帰れ、と全くの無愛想で怖かったけど(僕とカズはパスポートを取りにホテルまで一回戻った)、後にツンデレであることが判明したのでまあいいか。


ムール貝を合計100個近くは頼んだ。

これは焼いたもの。蒸したものがジューシーでおすすめ。

そしてビールが最高にうまかった。
 



 

結論・ニュージーで一番うまいものは肉でも牛乳でもなく、ムール貝である。

 
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アイフォンのスクショですが、リザルトです。
今回は1200人以上が出場したらしいので、606位ということはちょうど真ん中ですね。特別速くも遅くもなく、というところです。(かなり細かくデータが載ってて見ていて楽しいですね)。
 





あまり詳しくは述べないけれど、もっと上位を目指したいのならばバイクとランをもっと鍛えなければだめですね。練習方法や内容も、ロングの練習が必要になるでしょう。
 
ああ、でもランは4時間切りたかったな...。



感想としては、初ロング、楽しかった。
今回感じたロングの面白さとは、レース展開を読むところで、どの場面でどの補給を取るか、どのくらいのペースでいくか、など距離が長いことにより戦略的にレースを進めなくてはならないのがショートと違い、新鮮だった。
そして、その戦略を実行するにはそれに見合う実力(フィジカル)も必要なのだと感じた。いくら頭を使って考えても、レース状況が読めても、それを実行する体が言うことを聞かなかったらダメだなと。頭も必要だし、ちゃんと練習した体も必要だと。


ただ、ショートとロング、どっちが面白いかと言われたら、僕は今のところはショートと答えます。







なぜならば、ショートのほうがスピード感があり、そっちのほうが体をフルに追い込んでいると感じられるからです。
今回のランは、4時間32分で、自分としてはあまり納得いっていないけど、周りからは「でもフルが4時間半って速いよ」って言われることが多いです。でも、4時間半ってペース的にはキロ6'24"で、「キロ6半って遅っ!」って思いませんか?
また、3時間30分も結構速いほうだけど、ペースは4'59"。僕は42.195kmをキロ5で走るよりも10kmの距離をキロ3'30"とかで走れたほうが楽しい、と思ってしまう。ただそれだけの理由です。

 
でも、後輩のみんなには、是非ロングも経験してもらいたいな、と思います。
こんなクレイジーで楽しいレース、完走できるのはおそらく学生である今のほうが確率高いし。
社会人になって、練習量も落ちてしまってはアイアンマンになるのは難しい(社会人でもバンバン速い人はたくさんいますが)。目指すなら、今。今のうち。
もちろん、学生でもちゃんと練習しなくてはいけませんが。
 

そして、今回の遠征は、堀さんご夫婦に大変お世話になりました。たくさんのご迷惑をおかけ致しましたが、本当にありがとうございました。

出国ゲートを前に、堀さんご夫婦ともお別れ。ありがとうございました。


また、運営スタッフやボランティア、応援してくれた人々の偉大さも改めて痛感したレースでした。
ミキさんがいらっしゃらなかったら僕はレースに出れなかったかもなぁ。。。
ボランティアや応援して下さったタウポの人々にお礼を言えないのがとても残念で、アワードパーティの帰り際に、拙い英語で書いたメッセージカードを皆で書き、テーブルに残して席を立った。読んでもらえたら嬉しいなぁ。


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そんなこんなで、たくさんのトラブルと経験を胸に、”アイアンマン”達は無事に日本に帰還した。
 
 
家に帰るまでがアイアンマン、を合言葉に、皆それぞれの帰路へ着く。

 
こうして旅の仲間達は、名残惜しくはあったが、解散した(このセリフ、分かる?)


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―エピローグ―

レースの翌日の17:30、僕達は脚を引きずりながらアワードパーティーに向かった。
豪華な料理やアルコールが並び、そして各年代別の表彰式が行われた。表彰とは無関係な僕らは、ただひたすら食事を食べ、表彰される選手たちを見ていた。

レース後の疲弊しきった僕らには少し長いように思えたアワードパーティーではあったが、クライマックスに、壇上の陽気な司会者は、高らかな声でアワードパーティーをこう締めくくった。



You are …IRONMAN ‼


 
 

fin.

 
 
 
 
 



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