3/5
朝4:30起床。
ニュージーのこの時期の日没は20:30のため(20時前でも普通に明るい)、こっちに来てから体内時計は若干狂っているようで、夜はなかなか眠くならず寝付けなくて大変だった。それで起床がこの時間ですからね。
比企おじさんはオーブンの前のソファで寝ていた。
どうやら、少し早めに起きてオーブンを温めておこうとしたらしいが、もう一度寝てしまったらしい。やはりこいつは変だ。
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今回の初アイアンマンでの目標は3つ。
1つ、絶対に完走すること。
2つ、ランで絶対に歩かない。
3つ、楽しむこと。
1つ目に関しては、当たり前というか、ここまで来て完走できなかったら悲しすぎる。
2つ目は、実はワタクシ、フルマラソンは今までに1度しか走ったことがないのですが、
それは1年生の2月の東京マラソン。ランが激弱で全く練習しないで臨んだ結果、
22キロ過ぎで死に、ラスト10キロは歩くという辛い記憶しか残っていない。
それ以来、マラソンなんか二度と出ないと決め、今日に至ったのです。
フルマラソン単体ですら満足に走れたことないのにアイアンマンに出るなんて、全く段階を踏んでいねぇじゃねぇか、と突っ込まれそうですが(実際そうなのですが)、
あの東京マラソンは本当につまらなかった。ランで歩くなんて本当につまらないとあの東京マラソンで学んだので、今回のアイアンマンでは絶対に歩かない。何が何でも足を止めない、そう決めたのでした。
3つ目は、そのまんま、とにかく楽しむ。関カレやインカレと違って、今回の目的は完走。順位はあまり気にならないし、アイアンマンの称号を手にすること。これはスポーツではなくてむしろお祭り要素が強いので、楽しく。だって、これ、僕の唯一の卒業旅行ですもの。
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会場に着き、ウェットを着て、スイム会場へ。時間があるようで意外と時間がない。
アンクルバンドを装着し、ゲートをくぐる。もう後戻りはできない。
6人で円陣を組み、「絶対完走するぞー!」「おーー!」と叫ぶ。
すると、近くにいた全然知らないおっちゃん選手が、僕たちの輪の中に飛び込んできて「Good
luck ! Good luck ! Good luck ! (頑張るぞ!頑張るぞ!頑張るぞ!、的な)」と叫ぶ。おっちゃん含めた7人でもう一度円陣を組み、「Good luck ! Good luck ! Good
luck ! 」と叫ぶ。なんてノリがいいんだ、外国のおっちゃん。
おっちゃんと選手と笑顔で別れ、6人もここで各々の位置取りへ向かう。
「ゴールで会おう」
そう約束し、皆と別れる。しばらくは浅瀬だが、やがて足がつかなくなり、スタートラインへ泳いで向かう。フローティングスタートである。
スイムスタート。見渡す限りの人人人。今回の総選手数は1200人を超える。ショートと違って足を掴んだりなどのバトルは全くない。ただ、あまりに人が多すぎて意図しない接触はある。ブイは全部で25個(うろ覚えです。すみません)。ブイ同士の間隔はおよそ150m。
スイムについて….
特に書くことないなぁ…。(本当にただ淡々と泳ぐのみでした)
では、ここで軽く6人のメンバー紹介、特に競技経歴なんかについて触れておきましょう。そのほうが読んでてイメージつきやすいと思うので。
NO.1 安藤紀幸(学習院)
スイマーでサークルは1’25”。今回のメンバーの中ではダントツでスイムが速い。また、バイク、ランも速い。先月の南関東のエリートにも出場。一番3種目のバランスが取れている。
NO.2 小林嶺(学習院)
デュアスリートであり、1 年前に堀さんがオープンで2位になった時の南関東の3位入賞者(ちなみにバイク終了時点では堀さんに先行していた)。バイク、ランの実力では堀さんと同じ実力と考えていいかもしれない。仮想堀さん。
NO.3 徳間洋介(North West)
今回のレースに向けて、最もスイムに力を入れたと公言する男。2月のノースの頭おかしいスイム合宿にも参加しており、スイムには不安なし(ノースのスイム合宿の恐ろしさは2年前に僕自身経験済み。)
NO.4 高崎和拓(Aflo-Q)
バイク最強戦士。安藤と同じく先月の南関東のエリートに出場。南関東では驚異のバイク力でパックを次々に吸収。特に、ギャラリーがいる手前の折り返し付近で前の集団を回収したのは会場を沸かせた。ちなみにカーフマンいわきではバイクラップ2 位。
No.5 比企野創典(Aflo-Q)
バイク、ラン最強戦士。こちらも同じく南関東のエリートに出場、そして学生5位の実力者。アイアンマンの1週間前に東京マラソンに出るという訳の分からなさタフさを発揮し、2時間37分?くらい。南関東の順位といいマラソンの順位といい、飯尾と全く同じ(スイムも飯尾と同じです笑)
NO.6 近藤彰彦(筑波)
これといって得意なもの、特になし。謙遜とかではなくて、本当です。まあ、強いて言えば4年の後半からランが得意になったこと、また致命的なレベルでの弱点はないこと、といった程度か。安定しています、低いレベルで。
さて、メンバー紹介はここまででレースに戻ります。
アイアンマンでは、スイムは茶番と呼ばれているらしいですが、実際に泳いでみてその意味がやっとわかりました。茶番です、確かに。折り返しからが少し退屈だったけれど、あっという間に終わりました。
写真
1時間3分くらいでは上がりたいと思っていたのに、腕時計を見ると1時間7分。まあ、こんなもんか…。
そして、長い長い、そして急な階段を登り続けるとトランジエリアへ。(長いし、崖みたいだった…)
ここで、前日に預けておいたトランジセット(ギアバッグのことです)をボランティアの人が渡してくれる。着替えるテント内では、1人の選手に1人のボランティアがマンツーマンでついてくれ、トランジを手伝ってくれる。
バイクパンツとバイクジャージを着て、バイクを取りに行く。途中のエイドでスポドリをもらう。
バイクを取りに自分のバイクがセットしてあるラックへ向かう。ここで他の5人のバイクラックへ目をやる。
そして、長い長い、そして急な階段を登り続けるとトランジエリアへ。(長いし、崖みたいだった…)
ここで、前日に預けておいたトランジセット(ギアバッグのことです)をボランティアの人が渡してくれる。着替えるテント内では、1人の選手に1人のボランティアがマンツーマンでついてくれ、トランジを手伝ってくれる。
バイクパンツとバイクジャージを着て、バイクを取りに行く。途中のエイドでスポドリをもらう。
バイクを取りに自分のバイクがセットしてあるラックへ向かう。ここで他の5人のバイクラックへ目をやる。
安藤――――案の定いない。これは想定内。
とっくん――良かった、負けなかった。よし。
コバシ、比企野――案の状いる。よしよし。
カズ――――良かった、いr…
あれ…
い、いない…!?
カズがいないだと―――!!??
まじかよ。今までの学生レース(渡良瀬、関カレ、インカレなど)ではスイムでカズに負けたことは一度もなかった。抜かれるとしたらいつもバイク。この前の関カレもそうだった。一番マークしていたのはスイムに一番力を入れてきたと公言していたとっくんだったのに。
カズ「俺、スイムは、今年に入ってから20分間泳を2回しかしてないよ ^-^」
あの嘘つき野郎―――――
十分速いじゃねぇか―――(ちなみにカズのスイムアップは1:04’32”でした)
バイクであのカズに勝てるわけがない。スイム終了時点でカズが前にいるなんて…。
圧倒的絶望を胸にEXITを出ると、いざバイク。
バイクコースの最初の2,3kmは市内を走るため、応援が嬉しい。
だが、ニュージーのバイクコースはアップダウンが激しい。最初に待ち構えているのは、湯袋の坂のような長い長いキツイ上り坂。インナーorダンシングでないと登れないと言っても決して大げさではない。だが左手からは嬉しい応援。近藤選手、ここで手を振り声援に応えるファンサービスを発揮。
最初の激坂。 |
激坂の終わり。これはコバシ。後ろにタウポ湖が見えます。 |
その後、完全に市内を抜けるまでに何度か左や右に折れる。
完全に市内を抜けると、そこは、完全な一直線。
左と右を見ても、見渡す限りの牧場牧場牧場。草原草原草原。牛牛牛。羊羊。
そうです、あの牧場エリアに足を踏み入れたのです。
バイクコースは、1周90㎞のコースを2周回。片道は約45㎞。牧場エリアのバイクコースは片側一車線で、左側が行き、右側が帰りのコースとなっている。1周目の片道はスイムと同じく大混雑。あまり飛ばし過ぎないつもりが、周りはびゅんびゅん速い。おばちゃんもおじちゃんも、若いお姉さんもとにかく速い。
スピードは余裕で40km/hは出てるし、マックス56 km/hは出た。ちなみに、アイアンマンでは、ドラフティングは12m開けなくてはならない。しかし、人が多すぎて詰まりまくり。追い抜こうにも周りが速すぎるし、追い抜こうと右側を走る人は誰もいない。ペナルティ取られたら嫌だなぁと思いつつも、流れに乗るしかないよなぁ、と走り続ける。
最初の45キロは本当に楽しかった。だがしかし、40キロ地点でバイクがやってくる。嫌な予感がする。笛が鳴る。ドラフティングのペナルティだ。え、なんで自分だけ…とも思うが、とられた以上言い訳はできない。確かに12m以上開けてなかったのは事実。
ペナルティを取られたら、次の一番近いペナルティボックスに入らなくてはならない。これを逃すと失格。テンションも萎え、しばらく漕ぎ続けると折り返しがあり、そして割と近くにペナルティボックスを発見。停車し、レースナンバーを告げる。5分のペナルティ。この間にトイレに行ったりバイクのポジションなどをいじると失格。許可されているのは飲食だけ。しっかり補給を取っておくか、とショッツや固形物を食べ、気持ちを切り替える。
ここで近藤監督、一枚目のカードを切ります。前日に会場で買ったクッキーのような甘いもの(CLIF)を食べる。ショッツのようなジェルだけだと満腹感が得られず、飽きるため、歯ごたえがあって食べ応えのあるものを選んでおいた。
――5分後、レース再開。
大渋滞していた人の波はだいぶ収まったようだ。ただ、それでも今度は確実に前の人と12mの距離を開けることに専念する。ペナルティは3回取られると失格。慎重に行く。
大渋滞していた人の波はだいぶ収まったようだ。ただ、それでも今度は確実に前の人と12mの距離を開けることに専念する。ペナルティは3回取られると失格。慎重に行く。
帰りの45キロ…..辛かった。行きの元気が嘘のようだ。ペースも行きに比べてダウンしている。というかお尻が痛い…。
そして、何よりも僕の心を支配していたもの…。
それは、後ろから追い上げてくる比企野、コバシ。
デュアスリートが集結したこのメンバーの中で(安藤、カズ、比企野はこの前の南関東のエリートに出場)、明らかに劣勢を強いられるのはとっくんと僕。僕の予想では、トップは比企野かカズ、次が安藤、その次がコバシ、最下位争いはとっくんか僕だと踏んでいた(とっくんごめんね)。
ペナルティで5分ロスしたこともあり、常にひやひや。すれ違う人達に目をやり、比企野達を常に意識していた。ある地点で比企野、コバシとすれ違う。「ファイト!」と声をかけるも内心はビクビク。大体20分くらい後ろか。いやいや、彼らはスイムが遅いから序盤が出遅れているだけであって、そのうちすぐに回収されるに決まっている…。
とにかく1秒でも彼らから差をつけたいと必死にペダルを回し続けた。
そしてようやく1周目、つまり90キロを漕ぎ終え、市内へ戻ってきた。市内のコースの一部は、僕らが普段、宿泊しているペンションからスーパーなどへ買い物に行くのに使う、よく慣れた道と被っていて、そこを走っていると謎の安心感があった。後で聞くと、カズはそこのコースを走っている時、むしろ、ここを左折してペンションへ帰りてぇ、と思っていたらしいが笑
市内では応援が増え、鳴り物(僕が追いコンで優にあげた鐘)を鳴らす人やブブゼラ的なものを吹いている人がいて賑やか。ここでも近藤選手、手を振り声援に応えます。
ここで、また例の序盤の激坂が現れる。死にそうだ…。いやいや、辛い時こそ笑顔笑顔。観客に手を振りごまかします。
思えば、2周目のこのエリアが一番精神的に辛かった(肉体的に辛いのはこの後また別にあります♡)。またあのコースをもう一周してくるのかよ…、と。
そして、このあたりで異変を感じる。あと一周ということで気持ちが萎えていただけと思いきや….
これは….ハンガーノック….。
ハンガーノック。これはまずい。ここで死んだら完走が危うくなる。すぐさまショッツを食べるべきだ。しかし、手が動かない。ハンガーノックになりかけていると気づいているのに、補給を取るということすら面倒くさい、いや出来ないという状況に陥っている。
動け、動け、俺の手―――。
ここで無理やりにでもショッツを食べることに成功。2個、いや3個食べておこう、さらに固形食も食べておこう。今振り返ると、ここが無事に完走できるかどうかの分岐点だったと思う、マジで。近藤監督の名采配。
ハンガーノックの危機を脱し、市内を完全に抜けると――。戻ってきた、牧場一直線エリア。
テンションは最底辺。またここを走るのか、とその時―――。
「あきひこ――!」
名前を呼ばれた。え、誰?、と左側を見ると、
カズだった。
は?
意味が分からない。
カズは、なぜか自転車を降り、道路脇のトイレ?か何かの前にいて、割と元気そうにこっちに手を振っていた。
エイドステーションでもないし、ペナルティボックスでもない。なぜカズがここに?
理由は分からないが、とにかくカズがいた。
あっという間にカズは後ろに消えていく。
…….。
……..これって…..、
カズを追い抜いたってことだよな….?
……..。
ぅぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
よっしゃぁぁああああああああああああああああ!!!!!
いつぞやの東海でボロボロだった山下がバイク中に、「これで俺の筑波連続トップも終わりか…」と思ったその時、反対側のバイクコースで集団から千切れて死んでいた優を見て俄然やる気が出た、というのと全く同じ状況。
カズをバイクで抜いたぞ、あのカズをバイクでだぞ!これはいける!!
折れかけた心が復活する。性格悪いっすね、僕も山下も。
体も気持ちも復活した近藤選手、どうやら頭もクリアになったようです。
頭の中に宿る近藤監督、ここで2枚目のカードを切ります。それは…補給。
一応ショッツと固形食で復活したものの、いつまたハンガーノックが訪れるか分からない。
念には念を入れておく必要がある。ここでショッツをさらに2,3個取る。さらに、しばらく漕ぐとエイドステーションがあったので、「Banana Please !!」と叫び、バナナをゲット。ランでもエイドはあるけれど、ランで固形食を食べたら脇腹が痛くなったりして走れなくなるから、食べるなら今のうち。DHポジションでバナナの皮を剥き、食べます(ナイスカメラマン)。
ここでも名采配っぷりを発揮した近藤監督、ハンガーノックの危機を未然に防ぎます。
そのまま漕ぎ続ける。
しかし、カズを追い抜いた喜びもつかの間、新たな恐怖が押し寄せてくる。
それは、カズ。
比企野やコバシは、なんとなくだけど抜かれるとしたらバイクの終わりかランだろうと判断したが、カズはすぐ後ろにいる。抜いたばかり。しかも、カズがバイクから降りていた場所はエイドでもペナルティボックスでもない。おそらくただ単にトイレに行っていただけの可能性のほうが高い。ということは、カズは既にバイクに乗っているだろう。
………まずいな。
ここから先、2周目の大半は、比企野やコバシではなくより身近な存在の恐怖としてのカズの残像に怯えることになる。いつ奴が現れるのかだろうか、折り返しに到達するよりも前に追いつかれるだろう。こんなことが頭の中をぐるぐると。
しかし、ここで何とかカズの残像を追い払おうとする。いやいやいや、カズにバイクで勝つなんてそりゃ無理っしょ。折り返しまでに抜かれなかったら、ラグビーW杯で日本が南アフリカに勝ったくらいすごいこと…、ということは桐谷美玲が吉田沙保里に勝つくらい、またはクリリンがフリーザに勝つくらいすごいことなんだな(分からない人は調べてね♡)…俺はクリリンだ、と完全に思考がおかしくなるもののカズの残像に耐えることには成功。そのまま突き進む。
と、ここでちょっと思ったこと。
それは、みんなバイク速くね?、ということ。
僕が抜けた人はほとんどおらず、抜かれた人のほうが圧倒的に多い。なぜそんなに速いのか…おじさんもおばさんも、ピチピチなお姉さんもめちゃくちゃ速い。ロードに乗ってるのは僕達くらいで、9割がTTバイクっていう機材差はあるかもしれないけど、とにかくむちゃくちゃ速かった。荒木さんも2013年のアイアンマンブログでそう言っているけど。
そして、なんやかんやでカズには抜かれずに折り返しに到着。
おお、クリリンがフリーザに勝てたぞ….。
あとはラスト45km。終わりが見えてきた。
~しかし、クリリンはこの後本当の地獄を見るのであった~(ドラゴンボールのアニメのナレーションで再生して下さい)。
―次回に続く―
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